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もしかして、故意に無視されているのだろうか。 ハリーは自分に視線を向けることもなく横を通り過ぎて行った白金と黒との後姿を目で追った。 「めっずらしい。漸く喧嘩売るのに飽きたのかな？」 隣から聞こえたロンの声に、ハリーは思わずハーマイオニーに訊ねるような視線を向けていた。それに何も答えずに、ハーマイオニーはロンの方をちらりと見た。 ロンは何も知らないのだから、軽々しく口に出来ないのだろう。ハリーは心得たとばかりに頷き、後でと声を出さずに口を動かした。 「プライドが高いから、醜態を晒したとか思ってるのかも」 「醜態って……吐きそうになったこと？」 薬草学の授業で鉢植えに土を入れる作業をしながら、ハリーとハーマイオニーはしゃがみ込み、周りに聞こえない様に顔を近付けた。こっそりと周りに視線を向けたが、皆作業に集中していて聞かれている様子はない。 「全部把握してるわけじゃないもの。私だって判らないわ。……隠してること、あるでしょ？」 「……良く判るね」 「そりゃあね」 それで、と問うように視線を向けられる。ハリーは困った様に、視線を彷徨わせた。 「ごめん。今は未だちょっと……」 見透かすような視線に、ハリーがたじろぐ。果たしてハーマイオニーには何処まで知られているのだろうか。察しの良い彼女のことだ。自分が考えているよりも色々なことを知られているのかもしれない。もしかしたら、自分では気が付いていないことすらも。 「ま、いいわ。だとすると、的確なアドバイスは期待しないでね」 「アドバイスって……」 「このまま関わらないでいるつもり、ないんでしょ？」 くすりと笑ったハーマイオニーに、ハリーは苦笑するしかなかった。やはり彼女には隠せないらしい。 「とにかく、頑張ってみるよ」 「ご相談なら、何時でもどうぞ」 「ありがと」 にっこりと笑うハーマイオニーの余裕な様子に、ハリーは降参というように笑って、会話の終わりを示す様に立ち上がった。 ドラコがハリーに視線を向けない様になって、一週間になる。ハリーは何故ドラコが自分を避けているのかが判らなかった。確かに態度が変わったことは認めるが、今までより友好的になっているのだ。それは悪いことではないだろう。それとも彼は、そのことが気に入らないのだろうか。それともハーマイオニーの言う通り、醜態を晒したと思っているのだろうか。どちらにせよ、このままではどうにも進退窮まる。 一週間も様子を見たのだから、そろそろ自分から行動を起こしても良いのかもしれない。 ハリーは考え込む様に目を伏せた。 next |