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翌朝、ハリーが大広間に行くと、何時もの様に既にドラコはスリザリンの席に着いていた。几帳面な印象を受ける彼は、時間厳守という点でもハリーとは違っている。 ぎりぎりの時間に席に着くと、ハリーはスリザリンのテーブルに視線を向けた。 ドラコは朝に弱いらしく、何時もあまり朝食に手を付けない。そして、どうやら今日はそれに加えて寝不足でもあるらしい。眠気を振り払う様に瞬きをするドラコを覗き見て、ハリーは眉を顰めた。 どうやら本格的に困らせてしまったらしい。意識してもらえるかもと期待はしていたが、こうなると次の日曜日には考え過ぎない様に上手く言わなければならないかもしれない。 急ぎ過ぎたかなと苦笑して、ハリーは視線をテーブルに戻した。 ゆっくりで構わない。少しずつ、しかし確実にその間の距離を縮めて行けばいい。 ―――僕は誰にも、彼を渡す気はない。 手強そうだけど、と小さく笑みを浮かべ、パンに手を伸ばしたハリーは視線を感じて顔を上げた。 「楽しそうね？」 「まあね」 くすりと笑ったハーマイオニーににやりと笑って見せる。ハーマイオニーは大体察しが付いているのだろう。しかし、何故か追求はしなかった。薮蛇になる可能性に、ハリーも敢えて何故と訊ねたことはない。 「充実した日々を過してるからね」 充実した日々。言って、ハリーは噛み締める様に頭の中でその言葉を繰り返した。何度も何度も確かめて、漸く相手に微かに近付く。そんな人物を相手にした日々は充実していると言えるだろう。僅かだけれども、しかし確実に変化してゆく関係は、ゆっくりと染み込むような嬉しさと心地良さをもたらす。 満足そうな笑みを浮かべるハリーに、ハーマイオニーが小首を傾げた。 「……勿論、その充実に魔法薬学と魔法史のレポートは含まれているんでしょうね？」 「……あ」 隣に座るロンと二重奏になってしまった声に、ハーマイオニーが噴出す様に笑った。 next |