罪を犯したものが未成年の場合で、かつその原因が家庭環境に因るところが多大にあると判断された場合、情状酌量の余地があると魔法界の法は定めている。子供に属する者の場合、物事の善悪の判断を親が下している場合があり、また、親の強要または要請によることもある、と。だから、本人の判断能力に疑問がある場合や、親による強制があるなど家庭環境に問題があると判断された場合、その、寛大な処置が施される。 - 長夜 - 「引き取る……？　本気で？」 「うん。そう」 　思わず座っていた椅子から腰を浮かせ、怪訝そうな表情を隠しもせずに尋ねると、赤毛の友人は僕に負けないくらいに困惑した表情で頷いた。僕の声は静かな談話室に思いの外響いたが、幸いなことに談話室には誰もいなかった。それでもその内容は人に聞かせたいものではなく、自然とロンの声は低く小さくなった。 「遠戚にあたるし、近い親族であるトンクスが推薦人になるって。彼女も気に掛けてたみたいで……。それで、もし君が構わないなら、君も推薦人になって欲しいって。つまりは連帯責任者ということだけど。君の名前で少しでも反発が減るんじゃないかって期待してるみたいだ。勿論、迷惑を掛ける気はないし、嫌なら遠慮なく断ってくれて構わない」 「本気、なんだ？」 「人伝もなんだし、次に会う時にきちんと話ししたいって言ってた。君との約束のこともあるしね」 　僕の問いに頷いて、ロンは諦めたように肩を竦めた。 　彼の母親が情に厚く親切な人だという事は知っていた。その事を僕は身をもって知っていたし、好ましくも思っていた。でも……。 「君は良いわけ？　皆は？」 「父さんは賛成してる。彼の父親は嫌ってほど知ってるしね。兄達は……まあ色々かな。彼を知ってる連中はあまり好い顔はしてないよ。でも、引き取り手がいるのといないのとでは、色々と変わってくるし……」 　濁したような言い様に、彼も決して賛成はしていないのだということが判った。それはそうだろう。ロンと彼は、仲が良いとは決して言えない関係だった。……僕と彼と同じ様に。 「それじゃ、三ヶ月ほどお世話になるって話は無理？」 「いや、それは大丈夫。それを伝えるように言われたんだ。殆ど皆家を出たから、狭い家だけど十分部屋はあるよ」 　安心させるように笑って見せたロンも、卒業後は家を出ることになっている。 　僕はといえば、卒業後は部屋を借りることになっていたのだが、手違いで三月ほど待たされることになってしまっていた。困っていた時に、それまで家に来ればいいと言ってくれたのが、彼の母親のウィーズリー夫人だった。その時はその申し出を有り難く思い、こっそりとそのトラブルに感謝したものだったけれど、こうなると話は違ってくる。同じ家で生活するのでは、嫌でも顔を見ないわけにはいかないだろう。 　つい零れ出た溜息に、ロンが申し訳なさそうな顔をした。 「こっちから誘ったのに、ごめん」 「気にしないで。お世話になるのはこっちだし。それに、君の母親らしいじゃないか」 　そう言って笑って見せたものの、正直なところ僕は気が重かった。 next

　

またもや妄想が暴走していてその捏造はどうよ、な内容になっております（笑）。 どんなものでもどんとこい、という素敵な方、暫く御付き合い頂けると幸いです。

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