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早々に部屋に引き上げると、僕は手持ち無沙汰にベッドに腰を下ろした。今頃、ロンとハーマイオニーは荷物を片付けているか、風呂にでも入っているのだろう。また後で、と言っていたが、直ぐにはロンも来ない。 ふと、窓の外に目を向けると、雨が降り出していた。 雨音に、先程の会話が掻き消されていればいいのだけれど、と僕は思った。興奮気味のロンの声は、小さかったとは言えない。もし聞こえていたら、彼は密かに酷く気にするに違いない。 スネイプの話を思い出し、僕はふと不安になった。 スネイプは、もし自分が煩わしそうな素振りを見せたとしたら彼は部屋に来なくなったと思う、と言っていた。折角少しずつ歩み寄ってきたというのに、また彼は身を引いてしまうかも知れない。 どうにも落ち着かず、僕は立ち上がり窓の前に立った。雨は暫く止みそうに無い。雨を眺め、それからベッドに戻って再度腰を下ろす。やはりどうにも落ち着かない。がしがしと髪を掻き毟ると、勢いよく立ち上がり、僕は部屋を後にした。 時間からいって、彼はもう眠っている筈だ。彼の部屋からは、物音一つしない。僕はノックをせずに、彼の部屋の扉をそっと開けた。 室内は暗かった。やはり彼はもう眠っているのだろう。光が入り込み過ぎない様に僅かな隙間だけを残して扉を閉じる。僕はそっとベッドに向かうと、眠っているであろう彼を覗き込んだ。 「……ドラコ？」 心臓が、大きく跳ねた。綺麗に整ったベッドには、誰もいなかった。時計の針は疾うに二十三時を過ぎている。この時間に、彼がベッドに居ない筈はなかった。水音がした記憶もない。慌てて彼のベッドに触れてみると、冷たいシーツが彼はここにずっと居なかったのだという事実を伝えてきた。 僕は窓の外に目を向け、冷たい雨が降り続ける様子を眺めた。 ―――まさか。 思い至った考えに、心臓が大きく鼓動する。 僕は慌てて自室に戻ると、厚手のローブを羽織り、壁に立て掛けていた箒を手に取った。 next |