- 　告白 - 　力なく四肢を投げ出し、ドラコは天蓋を見上げた。好きにすれば良いと思った。自分に拒否権は無いのだ。どうせ甘受しなければならないなら、痛みは少ない方が良い。 　生暖かい手が白い肌の上を這い回る。その感触が気持ち悪い。膝裏に手を差し入れられ、大きく脚を開かされる。ドラコは咄嗟に脚を閉じようとした。いくら好きにすれば良いと思っていても、それには羞恥を覚えずにいられない。しかし、温かな手がそれを許さなかった。丁寧な愛撫が更に羞恥心を煽る。 　時間を掛けた愛撫の後に与えられた痛みに、ドラコは思わず歯を食いしばった。涙が白い頬を伝う。無理のある行為に、ドラコの身体が悲鳴を上げていた。圧迫感に息が詰まる。ドラコの喉から悲鳴のような声が零れた。 　どうやら流石に不憫に思ったらしい。温かな手が痛みを忘れさせようと動き出す。労わる様な愛撫に、ドラコの身体が跳ねた。 　―――さっさと終わらせてくれれば良いのに。 　ドラコは朦朧とした意識でそう思った。心を置き去りに、身体だけが反応する。荒い息遣いが部屋を満たしていた。 　男が男に恋情を抱くということを、ドラコは理解できなかった。連綿と続く純血の家系に生まれ、その血を繋ぐことは義務であり、当然の事とドラコは思っている。それ故に、生み出すことのない同性同士の恋愛というものがドラコには理解できなかった。それは非生産的で、無意味でしかない。 　その理解出来ないものが、ホグワーツには溢れている様だった。ドラコは女生徒に告白されることが珍しくなかった。恐らく秀麗な容貌と家柄とに惹かれたのだろう。ドラコにもそれは理解できる。そして相手が純血であれば、ドラコにとって一考の価値はあった。しかし、相手が男では話は異なる。少なくない数の男にも思いを告げられていることがドラコには理解できなかった。寧ろ遊びであればドラコもなるほどと思う。しかし、多くは真剣であると言うのだ。 　ドラコは自分に圧し掛かる黒髪の少年を眺めた。案外、彼は賢いのかもしれない。英雄だのスリザリンの後継者だの事あるごとに騒がれる彼が女相手にこんなことをすれば、噂になるのは避けられないだろう。しかし、相手が男なら話は別だ。孕む心配もなく、相手が正常な性質の持ち主ならば、口止めの必要すらない。男に組み敷かれる屈辱を、わざわざ他人に話すなどありえない。 　そろそろ終わりが近いのだろう。ハリーの動きが激しくなる。身体は顕著な反応を示しながら、ドラコの思考は冷静だった。 　苦痛と快楽から開放されると、ドラコは安堵の息を吐いた。隣に息の上がったハリーが横たわる。身体に回される腕をそのままに、ドラコは目を閉じた。このまま眠ってしまえば良い。そうすれば、目が覚めた時にはハリーは居なくなっているだろう。 　ハリーの手がドラコの髪を柔らかく梳く。その仕草に、ドラコは苛立ちを覚えた。口止め料は十分に払った筈だ。自分にもう用は無いだろう。そう思ったが、その手を払うことはしなかった。結局のところ、力関係ははっきりしているのだ。ドラコに拒否権は無い。 　いつもの様にハリーがドラコの痩躯を抱き締める。ドラコは抵抗せずに腕の中に納まった。彼は自分を女の代わりにしているのだ。好きにさせておくしかない。 　何もかもが面倒になって、ドラコはそのまま眠りに落ちて行った。 next

　

気が付けば、書いた後置いたまま一年以上経ってました。書き始め、20070622ですって。 というわけで、内容は「七巻？　何それ美味しいの？」状態でございます。 ちと内容が、焼き直しというかありがちというかだったり、もうちっとどうにかできるだろうと言う感じだったので、 そのまま置いておいたのですけど、もう開き直って載せてしまいます。 題名も、仮につけておいた題のままだけど良いや（笑）。 宜しければ、暫くお付き合い頂けると幸いです。

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